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2017年3月 毒性学会(SOT)第56回年会報告

(2017年3月27日)

毒性学会(SOT第56回年会が、2017年3月12日から16日まで、米国ボルチモアで開催されました。SOTは、シンポジウムやポスター発表、展示会を中心に、例年3月に年会が開催され、毒性学に携わる各国の企業、大学、研究機関、政府の関係者が多数集います。今回の年会の公式参加登録者数は、6,800名以上と報告されています。

Nanotoxicologyに関する口頭発表のセクションは、ワークショップ1課題(Circulatory Mechanisms Underlying the Systemic Effects of Inhaled Nanoparticles and Complex Combustion Mixtures: Common Pathways for Diverse Toxicants、発表5題)でした。昨年の第55回年会では、シンポジウム1課題、ワークショップ2課題、プラットフォームセッション1課題でしたので、発表数が激減したことになります。A. Erdely(米国国立労働安全衛生研究所: NIOSH)によるCNT吸入暴露による循環器系への機能障害(Evidence for Mechanistic Specificity Driving Pulmonary Particulate Exposure-Induced Cardiovascular Dysfunction)に関する研究発表は興味深いものでした。多層CNTに曝露したマウスから取り出した血清を、血管内皮細胞に添加した結果、血管拡張の減弱化や、酸化窒素産生の減少、細胞性炎症の誘導が認められたというものです。ポスターセッションは昨年と同様、4課題(ナノ毒性一般、ナノ炭素、ビトロ、ビボ)で構成されていました。セルロースナノクリスタル(Shvedova, NIOSH)や、グラフェンナノプレート(Ziemann, Fraunhofer ITEM)などの発表が新鮮でした。

TASCでの研究成果(In Vitro Toxicity Evaluation of Multi-Walled Carbon Nanotubes)をポスター発表しました。本研究は、ほぼ同等の長さと重量濃度に調製した4種類の多層CNT(Mitsui-7、日機装、CNnano (FloTube 9000)、Nanocyl (NC7000))を、ラットマクロファージ(NR8383)に24時間暴露し、生存率や生体内活性酸素種の産生、炎症性サイトカイン産生、遺伝子発現、および細胞内への取り込み形態を観察したものです。この結果、多層CNTの有害性は、その口径やバンドルの太さ、残存する触媒金属などの物理化学的特性に強く関連性があるとともに、多様であることが示唆されました。

来年の第57回年会は、Texas州San Antonioでの開催が予定されています(2018年3月11日から15日まで)。

会場となったBaltimore Convention Center

寒波襲来で極寒でした

(文責:藤田克英)