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2013年7月 RoHS2指令の制限物質リスト改訂に向けた動きが進む

RoHS指令(電気・電子機器における特定有害物質の使用制限指令)の改正案が2011年7月1日にEU官報で公布され、“ROHS2”として7月21日に施行された。制限物質リストは以前からの6物質のままであったが、施行後3年以内に制限物質リストの「徹底的な評価に基づいた見直しと改正」を欧州委員会が検討すべきと書かれ、検討対象の例としてわざわざ「非常に小さいサイズあるいは内部構造または表面構造を持つ物質や類似物質のグループを含む」(これはナノマテリアルを意味する)を挙げた。また、優先的にリスクを評価すべき物質として、HBCDD(ヘキサブロモシクロドデカン)、DEHP(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DBP(フタル酸ジプチル)が挙げられた。

 

「施行後3年以内」とは、「2014年7月22日までに」と解釈されるため、それに向けた動きが2013年になり開始された。欧州委員会の環境総局から、Environment Agency Austria (オーストリアの公的機関)が、「制限物質リストの見直しに関する研究」の委託を受けた。研究の目的は次の2つである。

  1. 制限物質リストに入る候補物質を特定し、評価するための方法論を開発すること、
  2. その方法論を用いて、候補物質に適用し、将来の制限物質リストを提案すること、

 

このように、最初に方法論を開発し、それに基づいて制限物質を選択していくことで透明性や合理性を確保し、政治的な動きの余地を狭めたことがポイントである。また、REACH規制など他の化学物質規制との整合性をとることや、ステークホルダーへのコンサルテーションを欠かさないことも強調されている。2013年の動きと今後の予定をまとめた。

 

1月20日~2月20日 第1回パブリックコンサルテーション(候補物質のアンケート)

1月 物質選定&評価手法マニュアルの中間報告の草稿が公表

2月20日~3月11日 第2回パブリックコンサルテーション(中間報告へのコメント)

3月13日 第1回ステークホルダー会議

5月14日 第2回ステークホルダー会議

5月 物質選定&評価手法マニュアルの草稿が公表

5~6月 第3回パブリックコンサルテーション(草稿へのコメント)

6月28日 物質選定&評価手法マニュアルの完成

9月 選定候補物質の評価結果のドラフト

9~10月頃 第4回パブリックコンサルテーション(選定候補物質の評価結果へのコメント)

10月頃 第3回ステークホルダー会議

11月7日 最終報告書のドラフト

11月21日 最終報告書(制限物質の提案を含む)

 

6月28日に公表された「物質選定&評価手法マニュアル」に示された物質選定のフローをpdfファイルにまとめた。Part Iが物質の特定、Part IIがプレ評価/物質の優先順位付け、Part IIIが優先物質の詳細評価である。本稿では、Part IIまでをまとめた。

ナノマテリアルについては、明示的に出てくるのは「3. 廃棄物関連性」の1項目(赤字で示した)のみであり、特別な扱いは受けていないようである。そのため、すぐには「Pあrt III:優先物質の詳細評価」に進むことは考えにくいだろう。
※追記(7月22日)
7月16日付けで、”EEE-substance-inventry”が回覧中で、8月19日までコメント募集中である。この物質リストはマニュアルの「Part I:物質の特定」の最初の「Step I 1:EEEに利用される物質のインベントリの作成/更新」に該当するものと考えられる。708物質に含まれているナノマテリアル(と思われるもの)は次のとおりである。
  • 酸化亜鉛(UVナノレーザーのためのナノワイヤを含む)
  • 多層カーボンナノチューブ
  • 白金・パラジウム合金のナノ粒子
  • 銅ナノパウダー
  • 鉄ナノ粒子
  • ナノファイバー
  • ポリマー・ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッド
  • ポリアクロルニトリル(PAN)ナノ構造物