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2013年2月 米国EPAが炭素系ナノ材料15物質に4件の重要新規利用規則を提案

米国環境保護庁(EPA)は、2013年2月25日付けの官報で、有害物質規制法(TSCA)に基づき、製造前届出(PMNs、TSCA第5(a)(1)(A)項に規定)が提出された37の化学物質に対して24件の重要新規利用規則(SNURs、TSCA第5(a)(2)項に規定)を提案した(リンク)。この規則の提案の背景にあるPMN等の関連文書は、ドケット番号EPA–HQ–OPPT–2012–0727で閲覧できる(リンク)。提案に対する意見提出期限は、2013年4月26日である。最終版が公表されると、当該物質を製造、輸入、加工する意図のある者は少なくともその90日前までにEPAに通知を行わなくてはならなくなる。

この37のPMN物質のうち、ナノスケール物質とされているものは、多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)が2物質、多層カーボンナノファイバー(MWCNFs)が12物質、カーバイド由来ナノカーボンが1物質であり、これらに対して、以下の①~④のとおり、4件のSNURsが提案されている。なお、対象物質についての説明の中で、ナノチューブとナノファイバーという命名方法の問題についても触れられている。さらに、有害性試験データの説明では、ナノスケール物質の物理化学特性の評価や材料特性評価試験の際にOECDスポンサーシッププログラムのためのガイダンスマニュアルを参考にすべきとしている。
①PMN番号P-08-392 MWCNT 【参考】輸入品をそのまま販売
・TSCA第5(e)項に基づく同意指令が2008年11月14日に発効
・同意指令発出の理由となった用途:静電防止・強化のための添加物
・健康被害防止のための同意指令の要求事項:
 1. 個人保護具の使用。例えば、不透過性手袋と保護衣(経皮暴露の可能性があるとき)、NIOSH認証のろ過式タイトフィット形全面呼吸用保護具(N100フィルターを備え少なくともAPF50のもの)(吸入暴露の可能性があるとき)。
 2. 米国での製造禁止。
 3. 同意指令に規定の用途に加工・使用を限定。
・この規則は、これら(1~3)の防止措置が取られない場合を「重要新規利用」に指定。
・推奨される試験:ラットによる90日間吸入毒性試験と最長3か月の事後観察期間と気管支肺胞洗浄液(BALF)分析、材料特性評価データ
→同意指令において、PMN提出者はこれらの試験を18か月以内に実施することに同意済み。
②PMN番号P-09-257 MWCNT
・TSCAの5(e)項に基づく同意指令が2009年8月11日に発効
・同意指令発出の理由となった用途:導電用途の高分子樹脂のマトリクスにおいてカーボンブラックや炭素繊維といった従来の材料を代替する導電性充填材、エラストマーや高分子や樹脂の機械的特性を強化するための添加物
・健康及び環境被害防止のための同意指令の要求事項:
 1. 個人保護具の使用。例えば、不透過性手袋と保護衣(経皮暴露の可能性があるとき)、NIOSH認証のろ過式タイトフィット形全面呼吸用保護具(N100フィルターを備え少なくともAPF50のもの)(吸入暴露の可能性があるとき)。
 2. 米国での製造禁止。
 3. 同意指令に規定の用途に加工・使用を限定。
 4. 加工・使用における水系への放出禁止。
・この規則は、これらの防止措置が取られない場合を「重要新規利用」に指定。
・推奨される試験:ラットによる90日間吸入毒性試験と最長3か月の事後観察期間(気管支肺胞洗浄液(BALF)分析、心血管毒性の決定(臨床に即した血液/血清タンパク分析)及び心臓の組織病理学的検査を含む)、物理化学特性データ作成
→同意指令において、PMN提出者は、90日間吸入試験を実施せずに、指定された製造量と時間の限度を超えないことに同意済み。
【参考】同意指令では、物理化学特性データとして以下の6項目のデータの提出を求めていた。六角形配列の方向 (キラル角を測定)、長軸の配列(分岐の発生(量))、欠陥(観察した欠陥を記述する)、粒子表面の体積に対する比、粒子個数(乾燥粒子個数、吸入性粒子の定量及びナノメートル範囲を含む多様な粒子径範囲での定量のため)、ダスティネス試験(EN 15051法)。
③PMN番号P-10-115、P-10-116、P-10-117、P-10-118、P-10-119、P-10-120、P-10-121、P-10-122、P-10-123、P-10-124、P-10-125及びP-10-126 MWCNFs 【参考】商品名Pyrograf-III
・TSCAの5(e)項に基づく同意指令が2011年5月9日に発効
・同意指令発出の理由となった用途:導電・導熱添加物、機械的強化添加物、蓄エネ添加物、化学品中間体
・健康及び環境被害防止のための同意指令の要求事項:
 1. 個人保護具の使用。例えば、不透過性手袋と保護衣(経皮暴露の可能性があるとき)、NIOSH認証のろ過式タイトフィット形全面呼吸用保護具(N100フィルターを備え少なくともAPF50のもの)(吸入暴露の可能性があるとき)。
 2.同意指令に規定の、導電・導熱添加物、機械的強化添加物、蓄エネ添加物、化学品中間体に使用を限定。
 3. 加工・使用を産業現場に限定。
 4. 加工・使用活動における米国水系への放出禁止。
・この規則は、これらの防止措置が取られない場合を「重要新規利用」に指定。
・推奨される試験:物理化学特性データ、作業環境暴露モニタリング、特性評価データ、ラットによる90日間吸入毒性試験。
→同意指令において、PMN提出者は、1年以内に物理化学的特性データの提出を約束。また、2種類の生産上限量を設定。1つは、労働現場の曝露モニタリングデータ、副産物を含むキャラクタリゼーション試験、加工段階での飛散量の定量化とキャラクタりぜーション無しでは超えない。もう1つは、90日間吸入毒性試験の実施無しでは超えない。90日間吸入毒性試験は、115~119の中の代表的材料と、120~126の中の代表的材料について2回実施される。
④PMN番号P-11-290 カーバイド由来ナノカーボン
・規則提案の理由:このPMN物質の用途は電気化学的センサのセンサ要素であり、PMN記載の製造方法であれば作業者の顕著な経皮・吸入暴露は考えられないが、それ以外の方法による製造は重大な健康リスクをもたらす。
・推奨される試験:EPA吸入暴露モニタリングデータ収集指針案に基づく、製造工程における吸入暴露モニタリングデータ収集。