Nanosafety Web Site > 米国政府 > NNI > 2011年6月 米国とカナダがライフサイクル曝露評価手法の標準化を目指した ”NanoRelease”プロジェクトを開始

2011年6月 米国とカナダがライフサイクル曝露評価手法の標準化を目指した ”NanoRelease”プロジェクトを開始

<はじめに>
正式には、NanoRelease Consumer Products(ナノリリース消費者製品)プロジェクトと呼ばれ、非営利の国際的組織である国際ライフサイエンス協会研究財団(Research Foundation)が、市販商品に使われるコーティングや素材からのナノマテリアルの放出を測定する手法を確立するために立ち上げた。ラウンドロビンテストを2012年に実施することを通して、ISOやOECDにおける標準化を目標に定めていることが特徴である。14名からなる運営委員会(Steering Committee)には、米国とカナダの行政機関(米国はEPA、NIOSH、OSHA、NIST、CPSC、カナダはHealth CanadaとEnvironment Canada)、事業者、労働組合などに所属する専門家からなる。OECDやISOでの経験が豊富なメンバーも多い。その下には、各自の所属研究機関のメンバーを中心とした「研究チーム」が置かれている。アドバイザーとして消費者連盟(Consumer Union)から2人参加していることも注目すべき点である。第1回の運営委員会は2010年10月19日に開催され、それ以降、月に一度以上の頻度で開催されている。

<「情報カタログ」サイト>

プロジェクトのウェブサイトは始まったばかりにもかかわらず、すでに充実している。「情報カタログ」サイトにはナノ材料と放出シナリオ別に既存研究が整理されている。評価データや評価手法の現状を押さえたうえで理想とのギャップを確認するというやり方がとられている。さらに、ドイツのInno.CNT、欧州委員会のNanex、NanoDevice、NanoSustainなど、欧米の関連プロジェクトも広く紹介されている。

<対象とするナノ材料>

24種類のナノ材料が検討対象に挙がり、5つの基準(ライフサイクルでの放出可能性、流通量と放出可能性量、消費者製品における利用、ナノ特有の計測課題、プロジェクトのフィージビリティ)に基づき、メンバーによる投票を行った結果、Tier 1(多層CNT、ナノ銀、ナノ二酸化チタン、ナノシリカ)、Tier 2(ナノ銅、単層CNT、ナノクレイ、ナノ結晶セルロース)、Tier 3(ナノ酸化亜鉛、ナノ酸化アルミ、ナノ酸化セリウム、量子ドット、カーボンブラック)に分けられ、さらに具体的に、「ポリマー中の多層CNT」と「繊維中のナノ銀」が優先的に取り上げられることになった。

<プロジェクトのロードマップ>

プロジェクトは4段階からなる。現在はPhase 1に当たる。

  • Phase 1:プロジェクトメンバーを集め、対象とするナノ材料と製品を決定。既存研究や手法の収集&評価を開始。
  • Phase 2:既存研究や手法の収集&評価を作成し、ラウンドロビンテストの内容とそのためのラボを選択。2012年1月に専門家ワークショップを開催
  • Phase 3 :ラウンドロビンテストの開始。手法の現状評価文書案の発表。OECD WPMN, ISO TC229, ASTM E56とのコラボレーション開始。
  • Phase 4 :成果のとりまとめ。手法の現状評価(State of the Science)文書の確定。標準作成。

<運営委員会ワークショップと今後>

「固体マトリクスからからのナノマテリアルの放出を計測するための手法の開発」と題する運営委員会ワークショップは、2011年5月10~11日に米国環境保護庁(EPA)のポトマックヤード会議場で行われた。1日目午前はプロジェクト全体について、午後はナノ銀のパネルと多層CNTのパネルが行われた。2日目午前はNIST(米国国立標準技術研究所)のメンバーが中心にナノマテリアルの分析および測定手法の現状と標準化動向をプレゼン。その後4テーマに分かれて分科会が開催され、最後にまとめと今後の予定が話し合われた。今後は、7月から専門家タスクグループ会議が冬までに3度開催され、「手法の現状評価」文書のとりまとめと、来年実施するラウンドロビンテストの概要を検討する。